お知らせ
サイエンス・カフェ高槻で、丹羽節研究員が講演を行いました。
分子標的化学研究チームの丹羽節研究員が、2015年5月16日にサイエンス・カフェ高槻にて「がんを観る:人にやさしい放射線の使い方」というタイトルで講演を行いました。
まずは放射線とはなにか?の話から始まり、炭素原子を例とした同位体についての説明、放射性同位体が安定同位体になる時に放出される陽子や中性子などの粒や電磁波をまとめて放射線と呼ぶことなど、物理学の基礎をおさらいしました。
次に、どうやって放射線を使うのか?をテーマに、PET検査の原理や、現在最も一般的に使われているFDGと呼ばれるPET分子プローブで体内の腫瘍の位置を特定する仕組みを解説しました。さらに、病気の治療の戦略をたてるためだけでなく、早期発見、さらには発症前診断を目的としてPETが利用できることや、PETで感情まで可視化できるようになった!という最新の研究成果まで、センターで行っている幅広い研究の紹介がありました。
また参加者には、サーベイメーターを実際に操作して、肥料や食品など身近なものに含まれている自然放射線の測定もしていただきました。
質疑応答では、自然界に存在する放射線源や、PETプローブの開発についてなど、多数の質問が寄せられました。
◆ サイエンスカフェのもよう
◆ 丹羽研究員からひとこと
わずか60分という時間の中で、参加された皆様にできるだけ理解していただけるよう心がけながら、PETについてお話をさせていただきました。また、サーベイメーターを実際に扱ってもらうことで、身近に存在する放射線を体感して頂けたかと思います。
一方で、私も答えに迷うような本質的な質問が続々と寄せられ、参加者の皆様の放射線やPETに対する高い関心を実感することができました。
今回の経験を糧に、私たちが進めている科学をさらに多くの方に知っていただくための工夫を、より深く考えてみたいと思います。