研究成果
理研独自の技術により、ゼブラフィッシュ胚で機能するプロモーターを網羅的に解析
理研ライフサイエンス技術基盤研究センター(渡辺恭良センター長)機能性ゲノム解析部門のピエロ カルニンチ部門長らは、小型魚類ゼブラフィッシュの発生段階での遺伝子発現制御に重要な役割を担うプロモーターを網羅的に解析し、脊椎動物の発生過程で機能するプロモーター群の新たな全体像を明らかにしました。これは、国際共同研究チームZEPROME(zebrafish transcriptome and promoterome consortium)を含む、計7カ国に及ぶ研究グループの成果です。
研究グループは、ゼブラフィッシュの発生過程を12の段階に分け、それぞれの段階の胚で遺伝子の転写がどのように始まっているかを1塩基レベルで網羅的に解析しました。その結果、発生段階によって異なるプロモーターが選択されていることや、脊椎動物に特徴的な新たな転写開始配列の存在などが明らかになりました。
今回の研究には、RNA転写開始点とその制御に関わるプロモーターを解析する基盤技術として、理研独自の技術であるCAGE法が大きく寄与しました。CAGE法を用いたゲノム全域にわたるプロモーター解析が、脊椎動物の発生過程で刻々と変化する遺伝子発現制御の根本的理解へとつながることが期待できます。
本研究成果は、米国の学術誌『Genome Research』に掲載されるに先立ちオンライン版(9月3日付)で掲載されました。